作戦立案の手引き #フィールドマニュアル

はじめに

皆さんこんにちわ。ぐらうんです。
僕たちが普段プレイしているCoopでは、ミッション開始後に小隊長が毎回作戦を考えています。
ここで決めた作戦次第でミッションの行方が左右されますから、とても重要な過程です。
では、そういった作戦はどのようにして立てられているのでしょうか。
今回は一般的な作戦立案のときにチェックするべきポイントを記事にしてみました。
米軍の作戦立案なども参考にしていますが、あくまでCoop用なので現実では使わないように!
またイベントの際は一番上が中隊長になったりしますが、今回は小隊長に主眼をおいて説明します。

守るべき3つの原則

火力の集中

Coopで運用できる味方の戦力は大きくても2個小隊規模程度しかありません。
よって戦力比で考えると、ほとんどの場合で敵の方が圧倒的に優位に立っています。
そのため指揮官は手持ちの火力をなるべく集中させるように行動しないといけません。
作戦を考える際には「同じ規模の部隊がお互いに援護し合える範囲で運用する」を目安にしましょう。
どのような規模であっても、指揮している分隊同士がお互い援護できる位置で動かすということです。
この原則を守ればどこかの隊が孤立して壊滅するという可能性を大きく減らすことができます。

クロスファイア

十字砲火とも言われますが、どこかで聞いたことがあるかもしれません。
簡単にいえば敵の正面と側面から同時に攻撃を仕掛けるということです。
攻撃時において、この十字砲火が行えるような位置取りが最も効果的に敵を攻撃できる布陣になります。
自分が守る側で考えたら、前から敵に撃たれている上に横からも攻撃が来たら悪夢ですよね。
作戦を考える際もこの十字砲火を可能な限り実現できるようにしましょう。

移動と支援

英語では”Fire and Movement”といいます。かっこいい!
部隊を2つに分け、一方を移動する隊、一方を攻撃する隊とします。
あるときはどちらか一方が常に攻撃を、またあるときは移動と攻撃を交互に行いながら前進します。
これによって、常に敵に向かって攻撃が行われている状態を作り出すことができます。
どれだけ小さい部隊であっても、攻撃を行う際には必ずこの移動と支援という役割を分担させましょう。

METT-TCによる分析

それでは実際の作戦はどのようにして立案していくのでしょうか。
ここからは一つの仮想的な任務を元に話を進めていきましょう。
あなたは小隊長で、上の図に示すAssault PositionからAgia Marinaの村落の制圧を下命されました。
今から作戦を立案していきますが、そのために踏むべき手順というのがいくつか存在します。

まず作戦立案において大切なのは、事前に得ている情報を分析することです。
敵の情報や味方の情報など、分かっている情報を整理しなければ効果的な作戦を立てられませんよね。
ここではMETT-TCという米軍も使っている手法で既知の情報を整理してみます。
METT-TCとは、

  • Mission – 任務
  • Enemy – 敵勢力
  • Terrain – 地形
  • Troops – 味方勢力
  • Time – 時間
  • Civil Consideration – 民間人の状況

の頭文字を取ったものです。
これらの要素を全て把握できれば、作戦立案に情報が不足するということはありません。
それでは今回の任務をMETT-TCで見ていきましょう。

  • Mission
    • Agia Marinaを制圧して保持すること。
  • Enemy
    • BTR-70を装備したロシア軍自動車化歩兵小隊が守備している。
    • 敵は到着して間もないため、防御陣地の構築はなされていない。
    • 事前の偵察で街を中心に300~400m程度まで展開が確認された。
    • 増援の可能性はない。
  • Terrain
    • 目標エリアの東側に山があり、南北に山と谷が交互に連なっている。
    • 目標エリア内部は市街で、中央を東西に用水路が走る。
    • 木々は少なく、稜線上は遮蔽に乏しい。
  • Troops
    • 1個ストライカー歩兵小隊
      • Platoon HQ
      • Rifle Squad ×3
      • Weapons Squad ×1
      • Stryker ICV ×4
    • 航空支援・砲撃支援はない。
    • 他部隊からの増強は受けない。
  • Time
    • 13:00を作戦開始時刻とする。
    • 日没は遠いので気にしなくてもよい。
  • Civil Consideration
    • 民間人は避難したため存在しない。
    • 家屋への無差別攻撃は禁止とする。

このような感じです。今回は上級部隊からMETT-TCが既に与えられているという設定です。
ただ実際のCoopではブリーフィングに必要な情報が全て記されているとは限りません。
そういった場合は「自分で考えてMETT-TCを埋める」ということが大切になってきます。
特にTerrainなどは書かれていないことが多いので注意しましょう。
慣れてくるまではこのMETT-TCを使って情報を整理してから作戦立案を行うことをオススメします。

部隊の装備を確認

METT-TCによる分析が終わりました。
上記の状況を元に作戦を立案していきますが、まず部隊の装備を確認する必要があります。
今回はストライカー歩兵小隊なので普通の歩兵小隊にストライカー装甲車4両が加わった編成ですね。
ここから今回のミッションに合わせて「それぞれにどんな装備が必要か」を考えていかなければいけません。
METT-TCで状況整理をしていると、ここで早くも役に立ちます。

  • 任務が制圧 → 爆薬の携行は必要ない
  • 敵にBTR-70が存在する → AT-4を各分隊に可能な限り分配
  • 目標エリアが街で接近戦の可能性→ フラッシュバンやコンカッションなどを多めに携行

などといった形で、MissionやEnemyなどそれぞれの項目に合わせて必要な装備が確認できますね。
もし敵車両が多ければ対戦車装備を増やしますし、歩兵だけならAT-4をHEDPに変えるいった判断ができます。
あなたの作戦立案と平行して部隊は準備をしていますから、装備の確認は早めにしておきましょう。

進入可能地形の判別

装備の確認を行ったら、続いて本格的な作戦立案に入ります。
ここからは基本的にマップとにらめっこになるでしょう。辛いですが頑張って下さい。
まず重要なのは「どこから攻めるか」を決める前に「どこが通れるか」を把握することです。
車両も歩兵も通れるルートを考えたとき、最も堅実なのは道路ですね。
ということで、最初は開始地点から作戦エリアに繋がる道路を最初に確認します。


実際は一々ラインを引く必要はありませんが、今回は見やすいように青で引いてみました。
どのような地形であっても道路は確実に通れるので、必ず把握しておきたい地形の一つです。
可能であれば道路を使って攻める、というのは覚えておいて下さい。


反対に森は車両にとって視界が取れず自由な行動もできないので、なるべく避けたいです。
ですから上の図のように森を赤で図示して進入不可能な地形としておきます。
今回はStratisなので森が少ないですが、Chernarusなどのマップだとかなり接近経路が絞られます。
また街中に入ったら「車両は道路しか動けない」と考えておきましょう。

更に稜線についても着目します。
車両がいる際には基本的に稜線の尾根か谷しか通ることができません。
ArmA3では地形が特に強調されているため、斜面が急すぎて通れない場所は多いです。


上の図で言うと、車両が行動できるのは緑色の線が引かれた場所に限ります。
Stratisは山と谷がかなり連なっているので、こちらの制限の方が多くなりそうです。
ただし先ほども書きましたが、道路がある場合はこの範疇に入りません。
どんなところでも道路があれば通れる……はずです。基本的には。


稜線の関係で通れないところをオレンジの線で引きました。
実際に作戦を立てるときは、このように地図から稜線を読み取る必要が出てきます。
とても難しく感じるかもしれませんが、ちょっと慣れれば意外と簡単にできることです。
分からなかったら周りにいるベテランさんに聞くのも手の一つです。
指揮に使えるものはどんなものでもどんどん使っていきましょう。
これで進入可能な経路が絞られてきたので、ようやく車両の進入経路のプランを書き出せそうです。


こういった形になります。
今は地形だけを考慮して純粋に「進入可能か」どうかだけを考えています。
そこまでルートが多くないことに気付きましたか?
地形からちゃんと進入不可能な地形を把握できれば、考えるべき進入経路も減ります。
これ以外の進入経路はそもそも行けないわけですから、上のルートから選べばいいだけです。


加えて歩兵の進入可能経路も書き足しました。
歩兵に関しては崖以外は稜線を含んでも通れるので、フレキシブルに動けます。
ただし機動力がないので歩く距離は多くても1kmくらいまでにしてあげて下さい。
車両がある場合はなるべく車両を使ってギリギリまで行くとスムーズに攻撃が可能です。
さて、これで侵入可能な全てのルートが出尽くしたので、ここから進入経路を決めていきます。
その前に少しだけ前知識を補っておきましょう。

作戦を決める際の3つのNG原則

高所から移動しない!

高いところから絶対に移動してはいけません。
この場合の「移動」は最初の方の原則にあった「移動と支援」の「移動」です。
ですから高いところから「支援」する分には(状況にもよりますが)構いません。
なぜ高いところから移動してはいけないのかは図を見れば一目瞭然ですね。
高いところから低いところへ下る際は遮蔽が全く取れない上に、戻ることすらできません。
かつ自分より高度が低い位置であればどこからでも射撃を受ける可能性があります。
もちろん原則ですから、例外的な場面も(割りと多く)あります。
ただし高いところから移動しないというのは、原則として一番に覚えておいて下さい。

歩兵に遮蔽がない場所を移動させない!

ArmA3の歩兵はとても軟弱です。
車両の機関砲で掃射されれば10秒で10人死んでもおかしくありません。
立案で一番に探すべきなのは集落などの建物がいくつかある場所です。
誤解されがちですが、森はあまり遮蔽になりません。
木の後ろに隠れても飛んできた40mmグレネード一発で吹き飛びます。
岩場ならかなり信頼できますが、Takistanくらいにしかないのが欠点です。
やはり一番信頼できる遮蔽は建造物なので、なるべく建造物がある場所を通るようにします。

エディターの裏をかかない!

メタな話になってしましますが、Coopは現実の軍事作戦ではなくゲームです。
エディターは「正面から攻められて丁度いい難易度」でミッションを作ります。
そこを小隊長が背後から行くぞ!といって回りこんだらどうでしょう。
そもそも現実なら後方には予備戦力が待機しているので、現実性に欠けます。
ゲームとしても2時間かかって交戦ほとんどなしでは、下で働いている歩兵が楽しくありませんよね。
後述しますが、小隊長には隊長としての役割以外にもゲームの進行役という側面があります。
小隊長として作戦を立案する際は「正面から攻め入る」を前提にやってみて下さい。
エディターの指定には従い、その上でどう上手く攻略するかを楽しみましょう!

進入経路の決定


それでは話をどこから進入するかに戻します。
上に書いた3つのNGを元に、どのルートがダメかを判断していきます。
今回はStratisなので「高いところから行かない」でほとんどのルートが消えそうです。


ほとんどの進入経路が紫色の進入に適さないルートとなりました。
画像に図示した通り、全て高地を通過し容易に敵の射線に入ってしまいます。
METT-TCを思い出すと敵にBTR-70がいますよね。
車両が敵の射線を避けないと、遠距離からBTRにメッタ撃ちにされる可能性が高いです。


ということで、消去法で一つのルートが残りました。
このルートを車両について考えると、途中までは路外で大変そうですが目標エリアには道路で接近できます。
谷の中なので視界が開けて色んなところから撃たれるという可能性もありません。
歩兵に関しても目標までにMilitary Rangeという施設があり、これが良い遮蔽になりそうです。

メインの進行経路はこのルートで良さそうです。
進行経路が決まり次第、METT-TCと照らし合わせて細かい作戦を立てていきます。

彼我の配置の予想


進行経路が決まった後は、このように考えられる敵の配置と味方の配置を考えます。
敵の配置を考えるのに重要なのは「自分が敵だったらどう防衛するか」を考えることです。
なかなか難しいですが、これを行えれば敵がいそうな場所がクリアに分かるようになります。
今回は分かりやすく敵の配置の予想を地図に書いてみました。
街に入るまでに最も脅威となりそうなのが

  • 青のMilitary Rangeを守っていると思われる敵
  • オレンジの小高くなっている教会の敵

の2つでしょう。
目標エリアに近づくにはこれを優先的に撃破する必要がありそうです。

逆に味方の配置を考えると、赤紫色の高地は支援には丁度よさそうです。
ただし、逆にBTRなどから撃たれる可能性も高いので運用には相当注意しなければいけません。
また街中に入り次第、用水路を確保できればそこを起点に南北に攻めることができます。
METT-TCと地図、そして進入経路を考えればこれだけの情報が事前に手に入るのがすごいですね。

ここまで出来たら大まかにやるべきことを書き出してみます。
やるべきことは、

  • オレンジエリアの教会の敵を早めに排除する
  • Military Rangeを制圧して足がかりとする
  • 援護担当は赤紫エリアの高地から可能な限り援護する
  • 街中に入ったら用水路を制圧する

作戦の決定


上に書いた配置予想図とやるべきことから、重要と思われる地点にCPやSbF、NAIなどのエリアを書きます。
あとはこれを使って最終的な作戦を決定するだけです。
地図表記の意味が分からない人はこちらを参照して下さい。

まず主力の攻撃部隊はストライカー装甲車4両とライフル分隊3つです。
これがAA Black上を前進し、制圧を担当します。
武器分隊はSbF84,SbF37を確保して攻撃部隊の援護を努めます。
小隊はWP1,CP1まで車両に搭乗して前進、NAI1に敵がいる可能性が高いためCPにて降車します。
その後は

  • ライフル分隊とストライカー装甲車 → NAI1を攻撃して制圧する
  • 武器分隊 → SbF84を確保した後にTAI1の敵兵を排除する

というような流れで進行します。
武器分隊にジャベリンをもたせればBTRもある程度攻撃できるでしょう。
それぞれの部隊が上記の目標を達成した後は、

  • ライフル分隊とストライカー装甲車 → OBJ Zuluに進入して用水路を確保、南北に戦果拡張
  • 武器分隊 → BTRが排除されていればSbF37に移動し攻撃部隊の支援

という形で作戦を進めていきます。

最後にPL(フェーズライン)を引いて部隊の統制をやりやすくしてもいいでしょう。
PLを引くときのコツは「各部隊の重要なポイントを結んだ線」と考えることです。
そうすると次のPLまで進む=各部隊が何か1つのことを終わらせる、という位置づけにできます。
勝手にどこかの部隊が突出してしまった!ということも防げるのでオススメです。

さあ、ここまでやれば作戦立案は終了です!
後は配下の分隊長にブリーフィングで作戦を伝達しますが、それはまた別の話……

おわりに

今回は小隊長の仕事の中でも、ミッション遂行のキモとなる作戦立案に焦点を当てたお話でした。
ただし実際のCoopではこれは単なる始まりに過ぎません。
この立てた作戦を元に小隊長は隊員を率いて任務を達成する必要があります。
そこで忘れてはならないのは、作戦は状況によって刻々と変化するということです。
元の作戦にこだわって損害を増やすより別のルートを選ぶ、という選択も必要になるかもしれません。

また途中でも書きましたが、小隊長は隊長であると同時に「ゲームの進行役」です。
作戦を完了させることも重要ですが、配下の隊員が楽しんでCoopをできることはもっと重要なタスクです。
初めてやるときは中々難しいことだと思いますが、そこまで考えられるようになれば一人前!
誰でも初めての経験はありますので、もし小隊長をやってみたい人がいれば遠慮せずに入ってみましょう。
最初はベテランの人がサポートしてくれるので、どんどん頼ればいいですよ!
この記事が小隊長に興味がある人が一歩踏み出すきっかけの一つになれば幸いです。

記事執筆にPeca TacticalさんのHPを参考にさせてもらいました。
現在は閉鎖されていますが、とても質の高いフィールドマニュアルが掲載されていました。
ありがとうございます。

Smile wins.

タグ:
作戦立案の手引き #フィールドマニュアル” への1件のコメント
  1. 大アルマー より:

    なるほど、こうして考えておられるのですね。
    作戦説明の時には、できるだけ黙っておきます。
    申し訳ありませんでした。

  2. masatomo より:

    勉強になりました!

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  1. […] ります。そのさいは、 作戦立案の手引きを参考に任務達成に向けた行動を決定します。 […]

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